靴下から始まった関係
看護師である私が訪問看護で学んだことを紹介します(^^)
あなたは患者さんから情報を取る時に気を付けることはありますか?
私は患者さんとはいえ、立場としても人間としても対応であろうと努めることです。
つまり、医療従事者として、治療対象としてのみ相手を見ることを避けています。でも病院勤務から訪問看護ステーションに転職して、その対応である心がけが身につくまで時間がかかりました。
まず訪問看護の依頼があると、ご本人との初回面談を行なったり、クリニックや計画相談支援事業所と情報共有をしたりします。そしてご本人の精神疾患の現状や課題を整理していくわけです。そうすると私も看護師として「〜は大丈夫だろうか」「〜のことを確認しないと」と不安な気持ちが高まってきます。
しかしその気持ちを持って行ってしまい訪問すると、最初の頃はもう尋問みたいにあれこれ聞いてしまっていました。でも、そんな尋問では患者さんとの信頼関係が作れず、大切な情報が聞き取れません。
そんな私のダメな態度を反省させてくれたのが、患者さんのある一言でした。
「あなた、履いている靴下、左右違っているよ。」
私は恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして焦っていると、目が合って二人で大笑いしました。
それから患者さんと身構えることなく、友達のように話せるようになりました。
そして事前に知っていた情報とは異なる様々な様子を知ることができました。
今回のことで、医療従事者としてより、同じ対等な人間として相手と接することの大切さを学びました。
そうすると、患者として身構えた相手の態度がほぐれてきて、見えない疾患の進行も発見できます。
そして何より、その方の個性が分かり、実は回復の兆しがあったなんてこともあります。
靴下の左右差を指摘してくださった患者さんは今はもう回復されてお会いしてません。けれども毎朝、訪問に行く前に靴下を履き替える時、あの時のことを思い出します。
その方の笑顔が私にとって訪問看護師の出発点になりました。
みのりケア訪問看護ステーション スタッフより
この記事へのコメントはありません。